初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
相良さんを射るように見る先輩。いつだって笑ってたし、そんな顔は一度も見た事がない。
相良さんも先輩をまっすぐ見ているから、冗談でないのはわかる。
「潤季、おまえ何言って…――」
「大和、黙って」
その場を収めようとした大和さんを今度は先輩が止めた。
そこまで言われてたら、大和さんだって黙るしかない。
大和さんから相良さんにもう一度視線を戻した先輩は、
「逃げてなんてないよ、場が悪くなるならと退くつもりだっただけだけどね?」
「大人の態度ってのも、大概にしたらいいと思う」
柔らかい調子でいい直した先輩に、まったく態度を変えない相良さん。
さすがにその言い方に先輩もピクリと眉が動いた。
「何を言ってるのか意味がわからないよ」
「その言葉の通りですよ」
相良さんは酔っているのか、絡んでるのか。
言葉は悪い時もあるけど、それは相良さんのキャラで十分カバーできてた。
だけど今先輩に放っている言葉はあまりにも喧嘩腰。
「キミとは楽しい酒は飲めそうにない事は十分わかったよ」
「それには同意ですね」
「ともかく、今日は帰るよ」
今度は大和さんと私に向けて言った。
「お金。置いてくなら自分の分だけにしてください」
相良さんのその言葉に一度眉を寄せて小さく息を吐くと、気を取り直すように明るい声で、
「……大和、悪いけど俺の分、出しといて。じゃあ、またね。クルミ」
今度は振り返らずに出ていった先輩を、結局最後まで何も言えずに私は見ているだけだった。
相良さんも先輩をまっすぐ見ているから、冗談でないのはわかる。
「潤季、おまえ何言って…――」
「大和、黙って」
その場を収めようとした大和さんを今度は先輩が止めた。
そこまで言われてたら、大和さんだって黙るしかない。
大和さんから相良さんにもう一度視線を戻した先輩は、
「逃げてなんてないよ、場が悪くなるならと退くつもりだっただけだけどね?」
「大人の態度ってのも、大概にしたらいいと思う」
柔らかい調子でいい直した先輩に、まったく態度を変えない相良さん。
さすがにその言い方に先輩もピクリと眉が動いた。
「何を言ってるのか意味がわからないよ」
「その言葉の通りですよ」
相良さんは酔っているのか、絡んでるのか。
言葉は悪い時もあるけど、それは相良さんのキャラで十分カバーできてた。
だけど今先輩に放っている言葉はあまりにも喧嘩腰。
「キミとは楽しい酒は飲めそうにない事は十分わかったよ」
「それには同意ですね」
「ともかく、今日は帰るよ」
今度は大和さんと私に向けて言った。
「お金。置いてくなら自分の分だけにしてください」
相良さんのその言葉に一度眉を寄せて小さく息を吐くと、気を取り直すように明るい声で、
「……大和、悪いけど俺の分、出しといて。じゃあ、またね。クルミ」
今度は振り返らずに出ていった先輩を、結局最後まで何も言えずに私は見ているだけだった。