初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「潤季っ、おまえさー言い方どうにかなんないの」

「大分押さえたつもりだけど?」

少し強い調子で言う大和さんに、相良さんはシレっとして答えた。

「あれで?」

「リョクだってわかってんだろ?あの人おかしいだろ?」

「……まぁな。だから今日俺ここに来たんだけどね」

このまま私がいないものとして話を進められるのはどうにもたまらない。
会話の流れが切れるのは重々承知で声をかける。

「あ、あの……」

すぐに気付いた大和さんが私の方を向いて、

「あぁごめんごめんクルミちゃん。当事者なのに蚊帳の外でごめんね」

「いや、あのそれはいいんですけど。話がいまいち見えてなくて」

ちょっと説明を加えて欲しい。私にもわかるように。

「……外やん、出張から戻ってからずっとおかしくて」

だけど、大和さんの口から出たものが意外なもので。

仕事に集中したいと言ってたから、出張は頑張ったんだと思う。でも、戻ってきてから様子がおかしい理由がわからない。

「仕事のし過ぎって言うか……、」

いい言葉が見つからないのかそこで言葉をきる。そこに相良さんが

「何かから逃げてる」

「そう、それっ」

「……やっぱり」

やっぱり?

「まぁわかってるからってあの言い方はないよ」

「……ちゃんと終わらせないと、逃げてるだけじゃダメなんだって」

さっきも相良さんは先輩に逃げるのかと聞いた。
別れを告げられたのは私なのだから先輩から逃げたいのは本当は私。なのに何故先輩が逃げる、なのか
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