初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「とりあえずさ、俺。外やん心配だから帰るけど」
「あぁ、その方がいいかもな」
「クルミちゃんのこと、任せて大丈夫?」
大和さんが聞いたのは相良さんではなくて、私に。
「え、」
「聞く相手、間違ってんだろ?」
もちろんそれにすぐに相良さんも反応する。だけどそんなことお構いなしに大和さんは、
「潤季に聞いても意味ないじゃん?任される気がなかったら、さっきのセリフ吐いてないだろ?」
何故か大和さんはニヤリと笑って、それに対し相良さんはばつが悪そうにしている。
「クルミちゃん、いい?」
「あ、はい」
「そんなわけだから、ここは潤季の奢りでよろしくね」
そしてすぐに席を立って大和さんは足早に店を出ていった。
フゥー
大きなため息が聞こえてきて、相良さんの方を見るとパチッと目が合う。
「お待たせしました」
そこにお店の人がお酒を持って入ってきた。
仕切りがあるだけでドアなんてないからもちろんノックなんかもない。
その事で二人の視線は自然とその人の方へ移った。
ほんの数秒だったのかもしれない。
だけど、その時間が何故か長く感じられて……
今更ながらトクトクと小さく胸が音を立て出した。
あれ?なんだろう、これ。