初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
オーダーした覚えのない飲み物が二つ。
相良さんのビールと私の前にはノンアルコールカクテル。

「リョク。」

「え?」

「帰る時、リョクがオーダーしたんだ、たぶん」

大和さんはアルコールを持て余してた私を見ていたのだろうか。ありがたくそれに口をつける。

「……おいし」

炭酸が口の中を爽やかにしてくれた。
そこでやっと顔をあげて相良さんを見る。

「なんか、ごめんね」

「ん?」

「飲み気分壊しちゃって……」

「いや、飲んでるし」

相良さんがグラスを掲げて、笑って言う。

ほんと相良さんには変な所ばっかり見られてる気がする。なのにいつも、何でもない事のように笑い飛ばすんだ。

「それに、またいつでもくればいいよ。」

「いつでも、なんて……忙しいのに良く言う」

だから私も、そんな相良さんには笑って返せる。

「クルミちゃんも言うねぇ」

「今度は。相良さんが都合のいい時に言ってください」

「おぅ」

そしてお互いに飲み物に口をつける。
相良さんはそのまま飲みほして、カタンとグラスを置いて、

「よし、今日は帰るか」

たぶんまだ時間的には早い。

だけど先輩との事、きちんと考えなくてはいけない。
蓋をして逃げてるだけじゃこのモヤモヤはなくならない。
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