初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
相良さんに続いて席を立ち、部屋を見渡した。
飲んだ後、忘れものがないかを必ず確認しないとどうにも落ち着かない。

「あ、」

ソファ席の隙間に見えたのはスマホ。そこに座ってたのは……先輩の?
私は急いで部屋を出て、店員さんと話していた相良さんに手元のスマホを見せた。

「これ、落ちてたんだけど。二人のうちのどちらかのかも」

「ん?」

つくづく私と相良さんは携帯の忘れものに縁があるらしい。
私の手から受け取ったスマホをじっと見て、

「さすがに中見るのはなぁ……」

「あー大和さんの電話知ってるならかけてみたらどうかな?」

「だな」

そう言ってすぐにポケットからスマホを出して電話してみるけど、一向に出ない。それに、もう一つのスマホは全く震えもしないし音もならなかった。

「リョクじゃないな」

ってことは残るは先輩。だけど私は、

「……アドレスも番号も消したから」

私がそう言うと少し驚いたような顔をした。

「とりあえず、リョクの連絡待ちでいいかな?」

「うん……」

プロフィール見れば済むってわかってる。だけど元カレの携帯を勝手にいじるのはさすがに……。

店を出るとすぐ相良さんが立ち止まり。

「電話、きたらしい」

スマホを取り出し、「リョクから」と私に言ってから話し始めた。
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