初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
その強い言い方に相良さんを見上げると、真剣な瞳とぶつかった。

「すぐ来るから。リョクが」

相良さんはそう言ってからすぐに駅の方に目線を逸らした。

なんか今日の相良さんは少し強引で、少し違和感を感じずにはいられない。

「それに、」

「?」

「家、近いんだから、別々に帰る必要もないだろ?さ、行こう」

その優しさは変わらない。

「……うん」

だからその違和感は、きっと、気のせい。


斜め前を歩く相良さんの姿を見失わないように少し早歩きでついていく。

金曜のこの時間、駅前は人も多くて「あ、ごめんなさい」うっかり人にあたってしまった私はすぐに謝った。それに気付いた相良さんは振り返って、私の方へ手を伸ばした。
そして店側に私を寄せ、人にあたらないように外側を守るようにゆっくり歩いた。

こういう気づかいのできる人だ。
わかってる。なのに、相良さんが触れたその肩に……。

そういうのじゃないのに。

「さすがに混んでんな。……っと、」

フラフラと歩いてきた人を相良さんは避けながら私をかばう。

なんかこういうの……

思考がおかしい。どうかしてる。
飲み過ぎた?

「もう酔ってんのかよ、」

「え?」

「あーまっすぐ歩けないヤツいたからさ」

私の事じゃないのに、やっぱり。どうかしてる。
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