初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
駅に着いたと同時に私のスマホが着信を知らせた。振動を頼りに今度はカバンから取り出して見ると、

着信中:大和 緑

「あれ?大和さんから」

そうだ。この前、番号交換したんだった。
でもさっき電話で話したのは相良さんなのに。

「……ったくっ」

舌打ち?なのか文句なのか。
相良さんが後ろからヒョイと私のスマホを取り上げる。

「え?」

そしてそのまま応答をタップした。

「なんだよ、リョク」

電話に出るなりそんな言葉で。
まぁ声でわかるとはいえ、普通は……

「ん、駅着いたよ、は?銀座線?」

チラリと私の方に振り返るから「あー銀座線はこっちじゃなくて……」

「あーわかった、すぐ行く」

駅にと言われてそのまま来たけど、路線によってはここからじゃなかった事を忘れてた。
先輩の家がどこにあるかなんて知ってたはずなのに。

「同じ駅なんだから一つにまとめとけっての」

ブツブツと文句を言う相良さんが子供みたいで下を向いてこっそり笑う。

「……これだから都会の駅は」

まだ文句言ってる。

「ほんと、便利なんだかよくわかんないですよね」

そう言ってから今度は私が先に立って歩き出した。
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