初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「私、元カレとは会いたくないなぁ」
うん、私もなるべくならそうしたかった。だけどそうもいかない状況になってるような気がしないでもない。
「まぁでも共通の友達もいるから一切合わないというのも難しいかな」
「そうなんですか……」
来月にはノリちゃんの結婚式もある。木村の方で呼ぶ予定だと聞いている。とはいえ数時間の事だからその間ニコニコするぐらいはなんてことない、そう思ってた。あのビールフェスタで再会するまでは。
「でも、その元カレ。焦ったんじゃないですか?相良さんイケメンだし」
ふふふっと笑って少しだけ楽しそうに話す。
「焦るわけないよ」
「クルミ先輩はほっんと男心わかんないですねー」
相良さんがイケメンと言うのはまぁ同意。そういえば男心がわからないって前にも誰かに言われたっけ。それがわかってたらきっと先輩とも続いてたんだろう。だけど、
「たぶん私にはずっとわからなそう」
「でもクルミ先輩はそれでいいのかもしれないですよ?」
その時、テーブルの上の愛羅ちゃんのスマホが震え始めた。
着信中:巧くん
だけど、愛羅ちゃんはその画面を見ているばかりで手を伸ばそうとしない。
「電話、待ってたんでしょ?」
私のその言葉にピクリと肩が動いた。そしてゆっくりと手を伸ばした。