初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「俺、適当にしてるし知った顔いればそっち行っていいから」
懐かしい中学時代の顔もチラホラ見えた。だけど名前までは思い出せなくて。
「何人か見覚えはあるんだけど、名前思い出せない」
「はは、じゃ声かけてくるまでいいんじゃね?」
「そうする」
たしかユキも来るはずなんだけどな。中学の吹奏楽部のメンバーも来てるけど、奥の方で仕込み?の打ち合わせみたいなのをしているようで忙しそうだし。
私たちは飲み物をもらってそのまま隅の方によって披露宴の話の続きをしていた。
「クルミ」
その声にハッとなって振り向くと先輩が男の人と並んでいて、
「あ、こんにちは」
「へー、ほんとにあのクルミ?」
「え?」
誰だっけ。この人。私の事知ってるみたいな……
「わかってないみたいだから言うけど、当時の部長って言ったらわかる?」
「えええええ、っと、お疲れ様じゃなくてご無沙汰してます」
だって違いすぎる。なんかすっかりおじさんみたいだし。先輩と同じ年なんて到底見えない。
苦笑いする元部長と笑いを堪える先輩。
「っと、」
後ろの相良さんに気付いた部長が会釈する。
それ続くように先輩が「キミも来てたんだ」と、あきらかに不機嫌な様子で相良さんに話しかけた。
「どーも。先日は」
不安に思って振り返って確認すると、ニッコリ笑った相良さんがそう答えた。