初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
飲み物が運ばれてくるまで数分。だけどそれがすごくすごく長く感じる。

二人とも表面上はにこやか。なのに空気が微妙にピリっとしている。
テーブルの上は何も置いてないし、挨拶もさっきした。
結局どうする事も出来ないまま。

「おまたせしました」

店員さんの登場でやっと顔があげられる。
手持無沙汰でいるよりいい。私はさっそく飲み物に手を伸ばした。

「乾杯しようか。」

そうか。ただ飲むって言ういうわけにもいかないか……

視線をあげ正面の先輩を見る。
口元にうっすら笑みを浮かべて私を見てた。
この顔を私は知ってる。二人でいるときはいつもこうだった。

そして「二人の門出と俺達の未来に」と先輩が言えば、相良さんが続けて「二人の門出に乾杯」とだけ言った。

そして二人の視線が私を捉える。

最初は正面の先輩に軽くカチンと音を立ててグラスを合わせ、次に相良さんにグラスを掲げて「乾杯」と言った。

……やっぱり二人は乾杯しないらしい。
というか、さっき先輩。聞きながしてはいけない事言った、ような？

俺達の未来？って。
“俺”は先輩として、"達”は……誰を指すのか。

それに、もしもそれが私と先輩を指すとしても二人の未来は重ならない。
だって、もう……
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