初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
こんな風に言う私、今までなかったから驚くのも無理はない。

こんな事言ったら嫌われるんじゃないかとか相手の出方ばかり気にしてたから。
でも変わるのは今。いや遅すぎたかもしれない。それでも今までの私から脱出できるのなら今ここで変わりたい。

目の前の先輩をまっすぐと見据えて語りかける。

「先輩。私は付き合ってる時にもっと色々話しがしたかった。あの時、縋ってでも話を聞いてもらうべきだった。今では後悔しかないけれど」

事実、後悔ばかりだった。振り返ってみれば見るほどもっと私がこうしてればとか、あの時こう言ってればとか。そんな事ばかりで。

「だったら。やり直せばいいんじゃない?俺達」

は?やり直す?たった今あの時にこうしてればと言ったけれど、それはやり直すためではなく反省と今後の私のための言葉だった。なのに先輩は……

ダンッ―――。


先ほどよりもさらに大きい音でジョッキを置いた相良さん。

私も先輩もその音の方へ顔を向けた。

ジョッキを握ったまま下を向いていて相良さんの表情はうかがえない。けれどジョッキを握りしめた手に力が込められているのがわかった。それに気づいたのは私だけかもしれないけれど。

「……気が長くはないって言ったはずだけど?」

下を向いたまま低い声で相良さんが言う。
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