初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
フゥー……
先輩から小さなため息がこぼれた。
もとはと言えば私が相良さんを連れてきた事がすべての原因のような気がする。
先輩と私の事に巻き込むつもりはなかった。けれど……
「クルミはさ、」
「はい」
不意に思考を断ち切られて返事をしたものの、先輩からの次の言葉がなくて顔をあげる。
私を見つめる瞳はあの頃のまま。半年前に別れを切り出された事なんてなかったのように。
その視線に戸惑ってしまって、慌てて目を逸らす。
いつでも見守っていてくれると思っていたその視線も。今はそれをどうしたらいいのかわからない。
どうしたらというか、何故そんな視線で見つめるのかわからない。
別れた人なのに。
「あの彼、には色んな表情見せるんだね」
「へ?」
突然言われたのは相良さんの事で。自分では見えない私の表情の事を言われても困る。
先輩はあの時のように優しい声で語りかける。
「クルミは俺に向き合おうとしてくれてた?」
問い詰めると言う感じではなく、真実が知りたいそんな風に。
「……少なくとも半年前のあの日は」
「そうなんだ……。」