初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
一方的に別れを告げられてこちらの言い分はまったく聞いてくれずに別れた。
話し合わなかった事が悪かったんだろうと予想はついても、決定的な別れを判断した理由はわからなかった。

「無理してるつもりはなかったんです、あの頃。それが当たり前だと思ってたから」

「……うん」

「でも今思うとやっぱり先輩の言うとおり無理してた部分も見えてきて」

「冷静に判断できるんだね。クルミは」

冷静に判断。そうかもしれない。自分の事だけれど今なら少し引いてみる事が出来る。

「今なら、先輩の言った言葉もわかるような気がします。だけど」

これだけは言わなきゃダメだ。

「だけど?」

「もちろん私も至らない所はあったと思います。だけど先輩も今の私を見てくれてなかった」

「どう言う意味?」

初恋の人が私だったのは聞いていた。
けれど、その幻想のままの私と付き合ってたんじゃないかと。

「中学の頃のままじゃない今の私を、先輩の前で出せなかったのもいけなかったのかもしれませんね」

その言葉に先輩は「なーんだそんなこと?」と言ってニッコリ笑ってから

「それなら、また。やりなおせばいいんじゃないの?」

ニコニコして言う先輩は私の言葉などまるで理解するつもりもなく。
いつもの先輩のはずなのに、……なんだか少し怖い。
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