初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
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「おじゃまします……」
相良さんの家はうちから徒歩五分とかからない場所にあった。
うちから一区画奥の高級住宅街と呼ばれる場所にあって、それに相応しいほどの高級マンションだった。
まさか近所にこんなマンションがあるなんて。というか、相良さんって何者?
「なんか何もない部屋で悪いけど」
そう言われて見わたすと、リビングにはテレビ、テーブル、ソファしかない。
そういえば先輩の部屋もこんな感じだった。必要最低限っていうか。男の人ってそんなものなんだろうか。
「シンプルっていうか、生活感がない」
「まぁ、なんかゴチャゴチャあると掃除が大変だしな、コイツが」
って指したのはお掃除ロボット。確かにこれならその子でも十分綺麗にしてくれそうだ。
照れながら言った相良さんは「俺はもっと狭い所でいいんだけどな」と付け加えた。まるでここは自分で選んでないみたいな言い方。
「ソファでよければ座って」
そう言ってキッチンに入って行く相良さんの後姿を見ながら、この人の事少しも知らなかった事を知る。