初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
あの日から、先輩とメールのやり取りをするようになっていた。
他愛もない話ばかりだけど、それでも今までの日常を変化させるには十分だった。
劇的な変化なんて望んでないけど、生活にちょっとした刺激は必要。
先輩はいつも絶妙なタイミングでメールをしてきた。
それは仕事にちょっと手を抜き始めた水曜日だったり、憂鬱になる日曜の夜だったりする。
ほんと、先輩。私の生活パターン知り尽くしてるんじゃないのってぐらいで。
だけどそれに随分と助けられてるのも事実。
単純な私はメールの内容よりも『自分を気にかけてくれる誰かがいる』それだけで気分が上昇した。
それに、飲みに行くかなんて言ってた割りには一度もそんな話はでない。
だからなのか、全く先輩に対しての警戒心なんてものはなくしていた。
それに比べて坂下くんとはあれっきりで、メールさえこない。
ドラマみたいに偶然会う事もなく、同じ路線だからと喜んだあの一瞬が嘘みたいに見かけることさえない。
気になったのは坂下くんなのに、先輩との交流を深めてる。
それはこれ以上坂下くんに近付かない方がいい。そういう事だろうか。
そこまで考えてから、
「先輩と、メールのやり取りしてる」
やっとノリちゃんに明かした。すると「え?外山、先輩と?」と意外そうに聞いてきた。