初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「なんか色々と口出しして悪かったな」
行動が先に出るってそういう意味か。
「ううん、実際。助かったし……」
さっき先輩に手を握られて困ってたのは事実。あのぐらいの事も振り払えないで良く一人で大丈夫なんて言ったものだ。あの時、相良さんが来なかったらって思うと……急にフルっと寒気がして咄嗟に自分の手を握りしめた。
私の話を全く理解してくれない先輩が知らない人のようで、その温もりさえ恐かった。
「クルミちゃん?」
「なんかちょっとさっきの事考えたら急に……」
「震えてる?」
自分で握りしめたその手が小さく震えてた。さっきまでなんともなかったのに。
「あ、れ。なんで?」
自分でもわからず震えている私の手を上からそっと相良さんの大きな手が包んだ。
―――温かい大きな手。
初めて握られて驚いたのと安心したのと二つの感情が一気にきて、ハッとなって相良さんを見上げると、
「あー何やってんだろ、俺。」
そう言ってその手をパッと離してしまった。
「口だけじゃなくて、手も出た……まじで。ごめん」
困ったように眉を下げて謝る相良さん。
嫌じゃなかったのに、むしろそれが心地いいとさえ思ったのに。相良さんが謝るような事なんてない。
「そのっ、……」
「?」
勢いで口を開いたものの、その気持ちをうまく説明できるかわからない。