初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

『もしもし~?クルミぃ~?』

「は?!ノリちゃん?」

こんな夜中に木村の携帯から電話があったら、ノリちゃんになんかあったのではないかと慌てて出るだろう。
ましてや今日は披露宴があったのだから。だけど、出てみれば暢気なというか、大層酔った様子のノリちゃんの声。

後ろから木村が「クルミだって迷惑なんだからすぐ切れよ」とか言ってるのが聞こえる。もちろん酔ってるノリちゃんがそんな事聞くわけもない。

「どうしたの?」

『え~?クルミがぁ、寂しいんじゃないかなぁと思って~?』

「あぁ、そう、なんだ……」

ノリちゃんの勢いに押され気味の私に畳みかけるようにノリちゃんが

『今、何してた~?もう家よね~?』

「えと、家で飲んでた……」

うん、間違った事は言ってない。

『誰と?!まさかっ先輩じゃないわよね?』

「ち、違うよ!」

っていうか、一人で飲んでたって選択肢はノリちゃんの中にはないのか。

『誰と、どこで、何を、飲んでるって?』

「……。」

『クルミ、飲んでる人と代わって』

「え?」

チラリと相良さんの方を見て「ノリちゃんなんだけど」とスマホを口元から外して言う。

「ん?どした?」

「……電話、代わって欲しいって。」

「おぅ、いいよ」

戸惑うことなくすんなりと電話を受け取ると「こんばんは」と話し始めた。

あんな調子だからノリちゃんの声は漏れ聞こえてくる。あきらかに絡むだろうと思うからハラハラしてしまう。て言うか、前もこんなことあったような気がする。
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