初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
私が聞き耳を立てているとわかりスピーカーにしてくれた相良さん。
うん、ノリちゃんの声もバッチリクリアに聞こえる。

『もうだいぶ遅い時間よ~?』

「うん、大丈夫。きちんと家まで送ってくから」

送ってくって。五分とかからない距離なのに。

『私の大切なクルミの事、泣かしたら許さないんだからっ』

「うん、そっちも大丈夫。そんなことしない」

酔っ払い相手にきちんと受け答えをしてる。ていうか、私が相良さんに泣かされるような事あるわけないのに。
ほんとノリちゃんは、心配性っていうか面倒見がいいって言うか。

『じゃあ、わかった。相良さんにならクルミの事任せられる』

「うん、任せてくれて大丈夫。」

『じゃ、クルミに代わって~?』

苦笑しながらも私にスマホを渡してくれて、丁寧にスピーカーから通常に戻してくれた。

「もうっ、ノリちゃん、なにも今かけて来なくてもいいじゃない」

『だって~クルミの事。心配だったんだもん』

「……ありがと。でも、もう。ほんとに大丈夫だから」

『クルミ、今日は、きちんと家に帰ってね?』

「……っうん、もう帰るとこだったんだよ」

『わかった!じゃあ、もう切るね、おやすみっ』

「うん、おやすみ」

……で、何の電話だったんだろう?

「ごめんね、ノリちゃんすごく酔ってたね」

「……彼女、いい友達だな。」

「うん」

「というわけで、今日はそろそろ送ってくよ」

「……うん」

この期に及んでまだ名残惜しいなんて、私も大概酔ってるな。
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