初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

      *****

はぁー

「ちょっとぉ、クルミ先輩!」

「え?」

「深いっ、深いですってば、ため息っ」

突然近くに寄ってきた愛羅ちゃん。それに気付かなかったどころか自分のため息にも全く気付いていなかった。

「あ、え?ごめん」

ため息。ついてた?

「ため息なんてついてたら幸せが逃げちゃいますよ」

「はいはい」

彼と順調なお付き合いを続けている愛羅ちゃんは相変わらず可愛い。そんな彼女はため息なんて全く吐きそうにない。

「クルミ先輩、今日早く上がれそうですか?」

パソコンに視線を戻そうとした瞬間そう問いかけられて、特に予定もないから頷く。

「終わったらどっか行く?」

「うわぁ、じゃあ頑張って終わらせますね?」

愛羅ちゃん、相談事かな?彼女が席に着くのを見届けると私も画面に視線を戻す。


さてと、ため息ついてる場合じゃないな。これを早く終わらせないと定時には上がれない。
終業時刻まで残り三時間。ため息ついてたと指摘された通り、仕事の進み具合は芳しくなかった。もう一度気合を入れ直し、真剣に仕事に向き合った。
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