初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「私、なんか余計な事……」
「愛羅ちゃんが落ち込む事ないって」
「……クルミ先輩。ごめんなさい」
見る見るうちにシュンとなる愛羅ちゃん。
「だからー愛羅ちゃんが謝ることなんて何も…―」
「違くて。ここに巧くんと相良さんもう呼んじゃいました」
目の前で下を向く愛羅ちゃんにできるだけ優しい声で話しかける。
「なんだ、そんなこと?四人で飲もうと思ったんでしょ?別にかまわないよ?」
本当にそう思ってる。だから、顔をあげた愛羅ちゃんに微笑みかける。
「いいんですか?」
「うん。もちろん。みんなで飲んだ方が楽しいでしょ?」
「そうですよね?」
やっと笑顔を見せた愛羅ちゃんにホッとしつつも心の中は複雑で、視線を店内にさ迷わせると、入口付近に見えた二人の姿。
「あ、ほら来たんじゃない?」
振り返って見た愛羅ちゃんは、二人に向けて手を振っている。
すぐに気付いた巧さんと相良さんに軽く会釈した。すぐに視線を戻すと相良さんがいつもの笑顔を見せた。
ズキン―――。
この笑顔は友達に向ける笑顔で、私だけに向けられるものではない。
さっき愛羅ちゃんに言った通り。私たちは友達なんだ。