初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
そんなに飲んだかな?相良さん怒ってる?なんだかちょっと振り向くのが怖い。

「具合悪くなってないから大丈――」

振り向きざまにクラっと来てバランスを崩す。それを相良さんが両手でしっかりと掴んで、

「ほらっ」

やっぱり怒ってる。相良さんとは家が近いからそこまで一緒。酔っ払い連れて帰るなんて迷惑って。そう言う事?

しかもその後に盛大な溜息。
今日は相良さんのため息ばっかり聞いてる気がする。

「ごめんなさ……」

顔をあげると、

「飲むなら家でにして。」

って、うち?家って誰の?そのまま相良さんを見ると、表情は怒ってるわけじゃなくて困ってるみたいな……?そしてプイと視線を逸らされた。えと?酔った頭では全く思考が働かない。

「ほら、帰るよ」

って、片方の手はその肩を掴んだまま、歩くように促される。

掴まれてるその肩から熱がどんどん体に伝わってくる。それにいつもより相良さんとの距離が近い。
後ろから支えられるようにゆっくりと歩いてるから、背中全体に相良さんを感じて……そう思った途端、熱が一気に上がってきた。

肩が熱い、
背中が熱い、
顔が熱い、

鼓動がどうしようもなく騒いでる。

酔った私を気遣ってしてくれてるだけなのに、勘違いしそう。
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