初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「言い訳はあとでするから、」
掴まれていた肩を引き寄せられて、相良さんの胸の中に捉えられた。
トクントクン―――。
私と同じように少し早い音が聞こえくる。
「ハァー、やっぱ俺、堪え性なさすぎ。でももうこれ以上しないから」
頭上からそんな声も聞こえてきた。
ちょっと可愛い相良さんが見え隠れする。
あぁなんか嬉しい。
「ふふ、相良さん。子供みたい」
胸に抱かれたままそう言うと、
「ほんと、マジで情けないから。クルミちゃん、こんな俺でもイイ?」
少し不安そうな声で返ってきたから、相良さんの背中に手を伸ばしキュッとしがみつくようにして。
「相良さんがいい。」
私が今思ってるそのままに答えた。
相良さんがいい。
相良さんと居たい。
「ごめ、クルミちゃん。これ以上しないって言ったけど早速撤回。」
相良さんは私を引きはがすと、
「俺、堪え性ないから。」
優しく耳元でそう言って、私の頬に口付けた。
そのままゆっくりと瞼を閉じると、今度は唇に優しく触れた。
まるで初めてするキスのように少し触れただけ。
だけどそれだけで心が満たされた。
「……好き。」
言った自分が驚いて、そのまま下を向いた。
口からこぼれたその言葉は相良さんの耳にも届いたはずで、恥ずかしくて顔があげられない。
「ハァー。もう、勘弁して。クルミちゃん」
相良さんの盛大なため息と聞こえてきたぼやき。