初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「あ、巧くん」
愛羅ちゃんのその声に入口を見れば二人の姿。
週末を相良さんと一緒に過ごしてはいたけど、愛羅ちゃんたちの前に会うのは何となく照れ臭い。
嬉しいって言う気持ちと半々で、どうにも普通にしていられない。
「こ、こんばんは」
「お疲れ様で~す」
ニッコニコ顔の愛羅ちゃんに対し、たぶんひきつった笑顔の私。なんか緊張して上手く笑えない。それに対して相良さんは今まで通りで、なんだか拍子抜け。
「なんだ全然食べてないじゃん」
「だって~話に夢中で、それどころじゃなかったんだもん」
うん、確かにそれどころじゃなかった。
愛羅ちゃんの話は尽きなくて、今までの分全部話すんじゃないかって勢いだった。
私は色々と相良さんとの事問い詰められるのかと思って身構えてたのにちょっと意外だった。
「とりあえず生二つね」
そう言いながら愛羅ちゃんの隣に座る巧さん。
すっかり見慣れたこの二人のように私もお似合いなんて言ってもらえるようになるんだろうか。
「クルミちゃん、おつかれ」
「あ、おつかれさま」
隣に座った相良さんから向けられた笑顔がやっぱり少し照れくさい。
ん?なぜか視線を感じて顔をあげると愛羅ちゃんと巧さんが私たちをじっと見ていた。
「あーほら、これ。メニューどうぞ、なんか色々おいしそうなものあったんだよね?愛羅ちゃん?」
私たちを観察されてたんだって思ったら居たたまれなくなって、それを中断させるべく慌ててそう言った。