初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
『っていうか、クルミさ。いつになったら相良さんと付き合いだすの?』
「え?」
ノリちゃんにはまだ付き合い始めた事話してない。だけど、こんな聞き方するって事をまるでわかってたような……?
『驚くような事じゃないでしょ?どっちかが言いだせばそうなるのは見てればわかるから』
「そ、そうだったんだ」
『まったくクルミは。私よりも付き合った人の数多いくせに恋の経験値はちっとも上がってないんだから』
ノリちゃんの言う言葉は尤もで。高校時代から受け身で恋愛してきたから、楽しみも苦しみも半減だったのかもしれない。それなりに人並みにしてきたつもりの恋愛が、ただの“ごっこ”だったと気付いたのはごく最近の事。
「わかってるってば。」
『で?どうなったって?』
「……そういうことになりました」
『そう!おめでとう!良かったね!』
あれ?いつもと違う。誰かと付き合う事を決めた時にノリちゃんにいつも言われてた言葉は。
《クルミが決めたんだったら私は反対しない》
これ以外を聞いたのは初めてかもしれない。だけど良かったねと言われれば素直に出る言葉は一つ。
「ありがと。」
『ま、相良さんも随分と時間をかけたもんだね』
「何それ、」
『何じゃないわよ、何度も鎌かけてんのに。で?どっちから言ったの?』
「どっち?」
手を出したのは相良さんだけど、言ったのは私、か。