初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
『あ、ちなみに私は巧くんが欲しがってたミリタリー時計にしました』
「へー、時計かー」
『結構前から欲しがってて、でも休日しか使わないしなーなんて言ってたのでちょうどいいかなって』
「なるほどー」
『日々の会話から拾えればいいんですけど。』
「……だよね」
結局そこだ。
『明日とか買いに行くなら付き合いますけど』
「……うん、でもまったくのノープランすぎてどこ探せばいいか」
『ふふ、なんかクルミ先輩。まるで初めて出来た彼にプレゼントするみたいですね』
「えー何それ」
『なんかすごくそういうの可愛いです』
可愛いとか言われても。
ほんと情けない今までの事考えてみても、無難な所を選んでた気がする。人が違えば欲しいものも違って当然なんだろうけど。
家の中に拘りのものは見当たらなかったし、特にどこかのブランドを好きな感じもない。けれど持っているものはそれなりに高級なものとわかるから……
「ダメだ。全然浮かばない」
『うーん、巧くん。そういうの疎そうだしなぁ』
「なんか、ごめんね」
『いいえ。私、すっごく嬉しいです。クルミ先輩そういうこと全然相談してくれないから。あーちょっと待ってください』
何かを思い出したのか、そのまま電話を置いた様子の愛羅ちゃん。
その間に過去にあげたものを思い出してみたけど、どれも今一つピンとこない。それは付き合いの短さなのか、それとも……?