初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

『とりあえず、明日まで時間ください』

しばらくして戻ってきた愛羅ちゃんはそう言ってから電話を切ってしまった。

明日までと言っていたけど、その間に私のできる事は……。ネットで調べたりしたけどピンとくるものはないまま夜は更けていった。


     *****


「眠そうですね、クルミ先輩」

「あーおはよ、愛羅ちゃん」

気付けば朝だったんだよね。
たかがプレゼント、されどプレゼント。最初のプレゼントってやっぱりちょっと重要だと思うのは私だけだろうか。

「今日も頑張って定時で仕事終わらせてくださいね」

「え、」

「え、じゃないですよ。買い物、行くんでしょう?」

「……そう、だけど」

決まってないのに行くのか。

「大丈夫です。一応対策練っておきました」

「そうなんだ。じゃあ、頑張るね」

愛羅ちゃんの後姿を見送ると、もう一度気合を入れ直して仕事にかかった。

どうも最近、仕事をがんばる理由が恋愛がらみな事が多い気がする。まるで社会人なりたての子みたいだ。
だけど、そんな理由にしろ効率を上げようとするのはいい事なのかも?なんて自分を正当化しつつ。今までとは明らかに違う自分の気持ちの変化も楽しく思えた。
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