初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
お店は駅の向こう側。早歩きで駅前を通過して……

「クルミちゃん」

その声に振り向くとそこには相良さんが。

「良かった。行き違いにならなくて」

会えた嬉しさに立ち止まってそれをかみしめていると、相良さんはニカって笑って手を差し出した。
相良さんの大きな手に包まれて私の手がすぐに熱を持つ。

「……相良さんの手、あったかい」

「あぁほら、ここに入れてたから」

そう言って自分のコートのポケットに一緒にしまう。そしてその中で手を一度外してから恋人繋ぎに繋ぎなおした。

「わ。なんかそれ、照れるかも……」

「ん?見えてないし、」

「そう、だけど。」

でもなんか、普通に繋ぐのよりももっと相良さんの存在が近い。

嬉しい。
恥ずかしい。

会いたかった。
もっと近くに。

―――もっと相良さんを感じたい。


「じゃ、行くか」

歩くスピードは心なしかゆっくりで。

「もっと店、遠かったら良かったのにな」

「え?」

「店入ったら。さすがに手、繋げないだろ?」

「あ。」

そんな風に思ってくれる相良さんが嬉しくて、ポケットの中で繋がれていた手にキュッと力を込める。
私の気持ちも想いも届きますように。
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