初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
いつものお店なのに、キャンドルが置かれていたり音楽がクリスマス仕様だったりで違う雰囲気に感じた。

「今日は特別メニューだから」

マスターはそう言ってクリスマスメニューを出してくれた。
今日、しかもさっき予約したはずなのにコースが出てくるはずはない。
チラリと相良さんを見るけど、こちらに気づかずにマスターとワインの話をしてる。

もしかしたら予約、していてくれたのかな?

約束しなかったのはきっと確実ではないからで。それでも今日この場に来れたのは相良さんが頑張ってくれたから。そんな相良さんの気づかいが、いつでも私の心を温めてくれる。

「勝手に決めたけど、良かったかな?」

「大丈夫。相良さん、私の好みバッチリだし」

「はは、そうか」

改めて二人で乾杯した。

クリスマスディナーと言っても、ここでならいつもの私たちでいられる。むしろそれが私たちらしいクリスマスの過ごし方なのかもしれない。

「ん、おいし」

「だな」

相良さんは顔をクシャッとさせて微笑むとやっぱりいつものようにクッと一気にワインを飲みほした
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