初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「はい、どうぞ。」
鍵を開けて中に入り、入口で相良さんが入るのを促す。
「なんか……緊張する」
そう照れながら言う相良さん。そういえば、相良さんがうちに来るの久しぶりかもしれない。というか、付き合ってからは初めて?
「別に取って食ったりしませんよ?」
ほんの冗談のつもりで言った私に相良さんは、
「それは俺のセリフ」
そう言ってドアを閉め、今度は私にも早く靴を脱ぐように言う。
私の肩に手を乗せグイグイと部屋の中まで押される。そしてそのままソファーにポスンと座らされて。隣に相良さんが勢いよく座った反動でグラリと体が傾く。それを包み込むように抱きしめられると。
「二人でメシもいいけど、やっぱこれが一番いいな」
お互いにコートも脱がないまま。暖房も消してからだいぶ経っている室内。
だけど心から温かいと感じるのは相良さんの温もりとその想いが伝わってくるから。
「……うん」
こんな幸せなクリスマス、過ごせるのは相良さんとだから。
ただ、そこに居てくれるだけでいい。モノもなにもいらない。
「ハァー早く休みになんねーかな……」
頭上でそんなつぶやきを漏らした相良さんにクスリと笑いを洩らしつつ、
「……うん」
休みならずっとこうして朝まで過ごせるのに。そんな気持ちを心の中に押し込めて数時間で終わるクリスマスの夜を堪能した。