初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「クルミちゃんとやっとゆっくりできる」
「ん……」
嬉しくてちょっと恥ずかしい。
急にソファから立ち上がった相良さんは私の目の前まで来て屈んで
「ゆっくり飲ませてあげたいけど」
そう言って私からグラスを取り上げる。
「……あ」
取り上げられたグラスを目で追う。それを置いた相良さんをそのまま見つめると、
「クルミちゃんとゆっくりしたい」
―――ドクン。
さっき見たホッとした寛いだ顔とも違う。その目に吸い込まれそうになる。
伸ばされた手に気付けば自分の手を重ねてた。
ソファから立ち上がりついて行くと、今まで一度も入った事のない部屋。相良さんのあとからついて入ると扉が閉められた。
暗い室内。
この部屋の中を熟知している相良さんは、明かりもつけずにそのまま歩みを進めてく。
私は暗闇に慣れない目でソロリと足を進めると相良さんが止まり
「やっぱ暗いとクルミちゃんの顔が見えないな」
そう言ってベッドサイドのライトをつけた。そしてベッドに座っている相良さんが手を伸ばして私の手を取り、
「クルミちゃん」
ちょっと切なげに呼ぶから。
引かれてもいないその手をたどり、相良さんの肩に手を置くとそっと額に口づけた。そしてそのまま相良さんの頭を抱えるように抱きしめる。
私は今、この人を癒してあげたい。