初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
抱きしめている相良さんからフワリといつもの香りが漂ってくる。その香りを感じるほどに近い距離に居られる事が嬉しい。

「クルミちゃんの心臓の音が聞こえる」

少しくぐもった声の相良さん。

私に抱きしめられるままに胸に顔をうずめている。
よく考えてみたら結構大胆?!その瞬間、早鐘を打つように高鳴る。
ちょっと焦ってその拘束を解こうとすると、緩んだその腕の中から顔をあげた相良さんが目を細めて言う。

「ん、少し早くなった」

いつもとは違うアングルの相良さんに再び鼓動が早くなる。

「だって……なんか、」

「ん?」

だってこんな相良さん見たことない。
いつもは見上げてるから見下ろした相良さんは……可愛い。

その時、強く引かれた腕。

相良さんにあたらないようにとずらした体は、バランスを崩しそのままベッドへ。
手をつくつもりが体を支え切れずに、ポスンと音を立てた。

「ごめ、クルミちゃん。大丈夫?」

上から覗かれたその瞳は揺らめいてる。

「……大丈夫、じゃないかも」

だって、ちっとも鼓動の速度がおさまらない。瞼をゆっくりと閉じると、気遣うようにそっと頬に手が添えられた。

「ん、俺も」

近くで囁くように言われたその言葉。そしてゆっくりと優しく口付けが落とされた。
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