初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
年の初めに思うこと
「うわっ、末吉……なんかビミョー」
隣で楽しそうにおみくじを引く妹の姿。
胡桃澤の家でお正月を迎えるのは今年が最後だろうと思って、しぶる妹に車を出させて初詣に来ている。
カシャカシャカシャ
おみくじ筒を振り、巫女さんに一本取り出した番号を見せる。
「ふぅーん、お姉ちゃんは中吉かー、あっでも待ち人近くにだってー」
ヒョイと私のおみくじを取り上げて主よりも先に見始める妹。
「ちょっともうっ、先に見ないでよ」
「こういうのはみんなで分かち合うのが楽しいんじゃん」
尤もらしく言う妹、
「はいはい、じゃあ御利益あるようによく読んでから結んでくるね」
ちょっとは姉らしく振舞おうとそれを取り上げる。
中吉って、大吉の次だから結構いい方だろう。それに待ち人が近くにいるって言われて思い出すのは……、
「あ、そうだ。お姉ちゃんの彼氏、結婚式に呼んじゃう?」
「へ?」
「あーそうしようよっ、紹介する手間省けるしね」
「や、あの。まだそれは早い気がするけど……」
「だってーそれ逃したらもう次いつ会えるかわかんないし」
というか、会いたいけど面倒だからいっぺんに終わらせたいみたいな感じに聞こえる。
「まぁ考えとく」
そんなこと言ってもその頃には忘れてる。実際、結婚の準備でそれどころじゃなくなるだろうから。