初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
部屋に戻ると暗闇の中でチカチカとライトが光る。すぐに相良さんの顔が脳裏に浮かぶけど。メールの受信だろうか?スライドして表示させると、

不在着信:相良さん

その名前を見た瞬間、頬が緩む。
また明日、そう言われていた事を思い出しそのまま折り返した。

「こんばんは」

『あ、クルミちゃん』

「部屋に携帯置いたままだったから気付かなくて」

自分の家ならどこに居ても大抵は気づくけど、さすがに実家の二階では無理。
去年はリビングにも持っていってたから冷やかされたんだっけ。

『あーごめんごめん、』

「今日ね、初詣行って御神籤引いてきた」

『御神籤か、大人になってやった記憶がないな』

「えーそうなの?私なんて毎年……」

去年これで失敗したんだ。そう思ったら言葉が止まってしまった。

『で?今年はどうだった?』

「え?あ、うん。中吉だった。」

『お、結構いいな』

「うん、いい年になるといいな」

『なるだろ?』

相良さんがそう言ってくれるならそうなるような気がする。いや、きっと相良さんといればそんな一年になる。
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