初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「急でアレなんだけど、明日時間あいてる?」
「明日?」
言いづらい事と言いながら、明日の予定を聞く相良さんに段々と疑問が生じてきて。
「ん。」
「あの、その前に聞いていい?」
「あ?うん、何?」
さっきの女の人。誰?なんて直球では聞けず。
「あの、さっき……電話で――」
モゴモゴという私の言葉を遮るように相良さんは、
「あーまったく、母さんには困ったもんだよ」
「お、母さん……?」
母さんって、お母さん?え?やだ。私っ
「ん。大体急についてくるとか言うから……って、クルミちゃん?」
相良さんの言葉が途中だというのに、ホッとした私は思い切り抱きついてた。だって、ほんとに、お母さんで良かった。
「……ちょっとだけ」
このまま、相良さんの温もりに包まれていたい。
さっきは感じなかったそれが今度はしっかりと伝わってくる。
「あー、もうっクルミちゃんは」
ちょっと怒ったような声が頭上から聞こえてきて、少し乱暴に引き剥がされる。もう少しぬくもりを感じていたかったのに。それに抗議するように上を向くと、
今度はもっと確かな温もり。
ちょっと怒ってとがった唇にそれが落ちてきた。
疑ってた事とか
ちょっと怒った事とか
すべて忘れてしまうぐらい優しい。
ここが玄関だって忘れてしまうほどそれは甘かった