初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「あーもう帰りたくねーな」
ぼやくように言う相良さんはやっぱりなんだか可愛い。
「お母様、居らっしゃるんでしょう?」
「……だよ、ほんとにまったく」
「あ、そうだ。明日って?」
「あぁ、そうだった、明日って時間とれる?」
「うん、明日までお休みだし特に予定入れてないから」
もともと相良さんに少しでも会えればと思ってた。明日の予定を聞いてくれるって事は会えるって事、だよね?
「……そのさっき話題になった母さんが」
「うん」
「クルミちゃんに会わせろってうるさくて」
「え?!」
ワインいただいた時に確かに会ってみたいとは言ったけど、近くに住んでないから言えたっていうか、良くこっちに来てるとは聞いてたけどまさか。
「さっき電話きた時、風呂入ってると思って話してたのに。いつのまにかあんな」
そこまで言ってはぁーっと大きくため息をつく相良さん。
「母さん。女の子、好きなんだよ」
「へ?」
「ほら、従姉妹の桃に会ったろ?アイツの事もスゲー可愛がってて」
イトコのモモ。あぁあの可愛らしい女の子。だってあの子は本当に可愛いし、その気持ちもよくわかる。
きっと家族ぐるみの付き合いなんだろう。あの時、相良さんがその子を見る目がすごく優しかった。兄のように、というか……
「可愛い子だよね、」
たぶん、あの時感じたのはそんな感想だけじゃなくて。もっと違う、きもち。