初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「やっぱり。思った通り。」
何がやっぱりなんだろう?会ったのは初めてだし、相良さんも不思議そうな顔をしてる。
「じゃ、私はそろそろ桃華ちゃん家に行くわね」
「は?」
まだ一緒に食事もしていないというのにもう行ってしまう?
というか相良さんも聞いてなかったのか戸惑い顔で居る。だけどそんな私たちに構う事なくお母様は立ち上がると、
「せっかくだもの、今日一日二人でゆっくり過ごして」
お母様に気を使わせてしまった?
「あ、あのっ、ワイン」
「あぁそうそう。貴腐ワイン、一緒に飲んだのですって?」
「はいっ、すごくおいしくて」
でも、会ったらこれだけは言わなくちゃと思ってた。
「ふふ、訓歌さんのお口にあって光栄だわ」
「いえ、あの」
「またお気に入りのを見つけたら送るわね。」
「はいっ楽しみにしてます」
気を使わせたのかもしれない。けれど、こんな風に嫌みじゃなくて言ってくれるのなら甘えてもいいのかもしれない。
「今度、連休の時にでもうちの方にもいらして?」
「はいっ、是非」
「ふふ、だって?良かったわね?潤季?」
「ちょ、母さんっ」
そんな大層な事じゃないのに、さっきよりもさらに慌てた相良さんがいて。
相良さんの生まれ育った場所が見てみたい。だからすんなりと返事をしただけなんだけどな。
駅まで送っていくと言った相良さんを断ってお母様は一人お店を出ていった。