初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「ところで堂地くん、」
「なんでしょう?」
「さっき朔也が休憩室に来て欲しいって」
「今ですか?」
と訝しげにミレイさんを見る堂地さん。
そう言いながらもニッコリ微笑んだミレイさんを見て、しぶしぶ席をたち部屋を出ていった。
ミレイさんはドアの方に目線をやり、さっと近くに席に座ると
「邪魔物は居なくなったから説明だけ先にするわね?」
邪魔物って。ただの料理教室なのに何かまずい事があるんだろうか。
桃華ちゃんは心得てるのか黙ってミレイさんを見ている。
「教室は四月からなんだけど、まずは彼らに内緒でバレンタインメニューを作ろうと思ってるの」
「わぁ、また素敵なの教えてもらえるんですか?」
「ええ、朔也がね?」
なんというか余りの急展開に口をはさめる状態じゃない。
「ただし、彼には内緒でね?」
「はいっもちろんですっ」
ニコニコ顔でミレイさんに返事をする桃華ちゃん。
すると私たちに向かって「詳しくはメールで連絡しますね」と言って立ち上がりお酒の準備をするといって一度部屋を出ていった。
「あのっ、桃華ちゃん?」
「はい?」
「えと、こういう事、よくあるの?」
そう聞くのが精いっぱいで、言った後で漠然とした事聞いてるなぁなんて思ったけどすでに遅い。
「はいっ、あ、でもミレイさんのする事は間違いないので大丈夫ですよ?」
そう自信満々に答えた。満面の笑みをたたえたままで。
今度はノリちゃんを見ると、
「なんか楽しそうだからこの話し、乗っとこ」
ノリちゃんもニコニコ顔でそう答えた。