初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
内緒の時間と秘密の特訓
「こんにちは、今日はよろしくね」
ノリちゃん、桃華ちゃんと待ち合わせた。
持ちものはエプロンだけ、手土産も持ってきちゃダメ、そう言われた通りの準備をして三人で朔也さんの自宅へ向かう。
「はい、私もお二人のお家にお邪魔するのは初めてなんです」
「へーそうなんだ?」
「地元にいる時は朔也さんの家の玄関までは行った事ありますけど、楽しみですっ」
桃華ちゃんのその言い方や今日の服装のせいもあって、やっぱり学生のように見える。
「桃華ちゃんは今日、なんて言って家を出てきたの?」
「私は今回は内緒じゃないので」
「あ、そうなんだ。でも今回は?」
「はいっ、地元のお教室の時はジュンさんには内緒でしたよ?」
「へーそうなんだ」
「あ、でも、何で内緒なのかな?」
ずっと二人で会話をしていた中に割って入ったのはやっぱり気になってたから。
「たぶんですけど、バレンタインの事があるからなのかなって」
「あー来月バレンタインよね」
「バレンタイン……」
そうか、すっかり忘れてた。
クリスマスディナーなんて作れないから端から諦めてたけど、チョコなら……
「まさかまたクルミ。買って終わらせようだなんて思ってたんでしょう?」
「え?あ、えーっと。」
ノリちゃんは相変わらず鋭い。
買ったものだって一生懸命選ぶわけだから遜色ないなんて思ってたけど、今年は作りたいと今一瞬にして思ってしまった。