初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「ジュンキ。そんな顔してみてたら、クルミちゃんゆっくりご飯も食べられないよ」
横に視線を逸らすと大和さんはあきれ顔で、
「どんな顔だよ」
「こーんな」って目を吊り上げて大和さんの整った顔を崩して見せた。
正直、キリッとしただけで怖い顔にさえなってない。けれど「ね?クルミちゃん?」と私に同意を求めるから思わずクスっと笑ってしまう。
「二人ともとりあえず今は食事の時間。他の事考えるのはあとあと」
「あ、ほんとですね。せっかくの料理が冷めちゃう」
「ん、そうそう。あ、ジュンキ。ワインおかわり頼んできてよ」
「おう、」
大和さんの言葉に素直に席を立ち相良さんは下に降りて行った。
相良さんが見えなくなると「クルミちゃん。そとやんならもう大丈夫だよ」と声を潜めて言う大和さんに、私の考えてた事がわかってしまった事に戸惑う。大和さんがわかったって事は……相良さんにも?
「きちんと前向いてるよ」
その言葉にホッとしつつも、何故か複雑。
過去に捕われて欲しくないはずなのに、それはそれで寂しいような。
「そう、ですか」
「うん。だからさ、クルミちゃん。」
まっすぐ私を見つめる瞳にさっき相良さんの言った眼力が宿っているのがわかる。だけど逸らさずに「はい」と返事をし、これから言われる事を受け止めようと思った。きっと私に大切な事を伝えようとしてくれるんだろうから。
大和さんは柔らかく微笑んで「幸せになっていいんだよ」と。