初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「ごめんなさい。今週末は実家に帰らないといけなくて」

木曜日はノリちゃんと、そして土曜日には妹の結婚相手の家族との会食が入ってる。
連絡するのすっかり忘れてたゴメンなんてメールが妹から入ったのは今日の事。だから金曜の夜には帰らなければいけない。その理由を話すとあっさりと納得した相良さん。

そっか、この週末に会えないとまた一週間先なのか。近くに住んでいるのに、なかなか会えない。仕方がないけど、こうあっさりと了承されるとそれはそれで、

「そんな顔しないの」

俯き気味だった顔をあげると少し眉を下げ小さく笑う相良さん。

そんな顔って、また私は顔に出てた?大体下を向いてるのに、顔色が伺えるんだろうか。

「じゃ、少しだけな?コーヒー飲んだら送ってくから」

「うん……」

コーヒー飲んだら、なんて言うけど。飲まずにいたらいつまでもいてもいいかな?そんな悪知恵を考えつつ。

相良さんを驚かせたい、だから料理の事も練習していることも今は内緒。

それを渡したらどんな顔してくれるかな?
いつかご飯をつくってあげられる日がくるかな?

そんな日が早く来るようにそう願いながら。
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