初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
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「愛歌、こういうことは早く言ってよね」
金曜日、駅まで迎えに来てくれた妹に最初に言う。今言わないと絶対に忘れる、というか
「だからー、ごめんって」
「急に決まったの?」
「そうなんだよねー。結納とかそういうのやらないつもりだったからとにかく結婚式場だけでも押さえて。それで全部決まったら、向こうの両親が急に冷静になったらしくて。結納式とまでいかなくても会食ぐらいしたいってなって」
愛歌は一気に説明しきった後でふぅーっ小さく息を吐いて車を発進させた。
「……なんか大変だね」
「んーでも、転勤の事もあるからね。出来る限り要望は叶えてあげたいって」
と、彼に言われたわけか。
ノリちゃんの時もそう思ったけれど、結婚ってなんか色々と大変そうだ。だからこそ本当にこの人という相手じゃないと乗り越えられそうにない。この年だからこそ余計、そう言う事考えてしまう。
「愛歌ともそうそう会えなくなっちゃうのかー」
「ちょ、お姉ちゃん。そんな事言わないでよ」
「近くに居るから何時でも会えると思ってたけど、そうじゃないとなるとねー」
「ずーっと向こうに居るわけじゃないんだから。戻ってくるわよ?」
お嫁に行くだけでなく、関西に行ってしまう妹が本当に遠い存在に感じる。
気持ちは色々複雑だ。そんなことを考えている家にもう到着したらしい。
「ありがと」と愛歌に微笑んでお礼を言って車を降りた