初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
あの後、

「それは今度、もっと早い時間の時にするよ」

先輩は爽やかに微笑んで、私がタクシーを降りるとそのまま去っていった。

私の申し出をまさか断るわけないと思ってたから、ちょっと驚いて道路にそのまま立ち尽くしていた。

そこにきたのがノリちゃんからの電話だった。
だからその勢いで、一部始終をそのまま話し始めた。

おかげで翌日の今日、こうしてかなりの時間説教される事になったんだけど。

「……聞いてる?クルミ」

「あ、うん。聞いてる。そう言えば今日、デート良かったの?」

「別に会わない週末があってもいいでしょ」

「そうだけど、」

でも私のせいだとしたらそれは申し訳ないし。

「そんなのはいいから、外山先輩の事真面目に考えなさいよ」

「でも、」

「まだ言われてないかもしれないけど、早かれ遅かれその日は来るわよ。もうあの時とは違うんだからわかってるんでしょ?」

自分に向けられる好意をわからないほど子供じゃない。
だけど、もう少しあの頃の気持ちに浸っていたいだけ。

再会してからは矛盾だらけだ。

あのままでいたいのに、やり直したくて
やり直せたらいいのにと思うけど、そうもいかない。

「もう一度言うけど。先輩ならいいけど、坂下はダメ。」

ノリちゃんの言ったその言葉だけが頭のなかに刻まれた。
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