初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「私も愛歌みたいにお母さんの手伝いしておけばよかった」
そうため息まじりにこぼすと、
「お姉ちゃんは部活超頑張ってたじゃん。私は何にも入ってなかったしね」
「そうだけど」
「だいたいさ、関東大会出場したり、なかなか経験できる事じゃないって。私なんてお姉ちゃん羨ましいなぁって思ってたよ」
「え?そうなの?」
当時部活なんて面倒だからと特に何も入らずにいた愛歌。かと言って遊びまわるわけでもなかったから自然とお母さんの手伝いをするようになってた。だけど私を羨むような感じにはとても見えなかった。
「そんなに夢中になれるモノがあって、それに一緒に向かって頑張る仲間が居て。いいなぁってね」
今だから言える真実ってのもあるんだろう。
「そうそう、お手伝いなんて今からでも遅くないよね?お母さん」
「そうね、せっかくだから日曜日に何か作りましょ」
あ、すっかりお母さんはその気になってる。こんな事はそうないけど、相良さんの顔がチラリとよぎる。
少ししか会えなかったから明日帰ってその後なんて思ってたけど。でもお母さんも嬉しそうだし、日曜の夜に帰ろう。
相良さんに会えないのは寂しいけど、きっとまたすぐ会えるはずだから。