初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
定時きっかりに仕事を終えてロッカールームへ行くと、クリスマス同様なんとなくソワソワして見える。そんな中で愛羅ちゃんもすごい勢いでメイクを直して帰って行った。恋愛ごとには100%な彼女を羨ましいと思う反面、自分にはきっとできない事も知っている。

予報では三月の気温だと言っていた通り穏やかな天気で、コートを羽織るだけで十分なようだ。去年は大荒れの天気で一日中気に病んでいたというのに。

ケーキは昨日のうちにすでにつくったから帰ったらソースを作るだけ。
夕飯はやっぱり出すのはまだ自信もないからイタリアンのマスターに連絡済み。ほんとマスターがいい人で良かった。

ほぼ準備を終えた状態だから随分と気が楽だ。
あとは相良さんの連絡を待つのみ。



家に着き、すべての準備を終えて時計を見ればちょうど七時。
ソファに座ってテレビをつけた途端、テーブルの上のスマホがふるえだす。

着信中:相良さん

「もしも―――」
『もしもしクルミちゃん?』

最後まで言わないうちに相良さんの焦った声。その声にちょっと嫌な予感が走る
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