初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
*****
「ほんとにいいんですか?」
「桃、しつこい。良いって言ってんだろ?」
「もうっ、潤にぃには聞いてないっ、クルミさんに言ってるのに」
桃華ちゃんがぷぅーっと頬を膨らませて拗ねる様は本当に子供みたいで、可愛いとさえ思えるのに。
横にいる相良さんと、正面にいる桃華ちゃんのやりとりはやっぱり付き合ってるみたいに見える。長年仲良くしている親戚だと頭ではわかっているのに、目の前のこの光景をしてしまうと……
「無理に誘っちゃって。その、彼は大丈夫?」
「あ、はいっ、後で迎えに来てくれるって言ってたので」
照れた顔を見せて嬉しそうに話す桃華ちゃん。
「ほんと彼に大切にされてるのね」
「大切って言うかそれ越えて溺愛だよな、あれ」
「ちょ、潤にぃ。その表現やめてっていつも……」
いつも?何度もその話をしてるぐらい二人を見てる。
「あいつのおかげで、桃の子守りから解放されて良かったよ」
「何時までも子供じゃないって、言ってるのにぃ」
やっぱり二人には、長い長い付き合いの歴史がある。チリチリと胸の奥に痛みが走る。
「ま、今ならアイツの言ってた事。俺にもわかるよ」
その言葉と共にテーブルの下に置かれた私の手をキュッと握りしめた相良さん。