初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「潤にぃ、ごめん」

席に戻ってくるなり桃華ちゃんが謝りだす。

「ん？」

「ジュンさん、お仕事終わらないみたいで……」

「あいかわらず忙しいんだな」

「……うん、」

「だから一緒に住むようにしたんだろ？あの人」

寂しそうにうつむいて答える桃華ちゃんを慰めるように言う相良さん。

「え？そうなの？」

「は？！桃なんだと思ったんだ？」

驚いた桃華ちゃん、それを見てさらに驚く相良さん。だけどすぐに納得したのかフッと微笑んで頷くと

「桃が寂しくないようにだろ？ま、あの人の独占欲もあるだろうけどな」

彼女の事を一番に考えてる。一緒にいる姿を見た時にそれは感じていた。だけど随分と彼の事も知ってるような気がして、

「相良さんって桃華ちゃんの彼と知り合いだったの？」

「いや、全然。むしろ知り合いたくないタイプ」

顔をしかめていう相良さんのその姿に、すぐに反応した桃華ちゃん。

「ちょ、どういう意味。それっ」

それは当然の反応で。

「はは、今は普通だし、いいだろ？別に」

「むぅ、そうだけど。だけど潤にぃにはジュンさんと仲良くして欲しいもん」

身内には自分の伴侶となる人と仲良くして欲しい。それは当然の願い。きっとふたりは小さい頃からこうやって育ってきた。兄と妹のように。
そこにはしっかりとした絆がある。出会って一年ほどの私には太刀打ちできないものが。