初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「で?来れんの?」
その質問に桃華ちゃんは曇らせていた顔を明るくすると
「あ、うん。一時間後ぐらいだって」
「そ、じゃ、先食っとくか」
そう言うと店員を呼びオーダーをはじめた相良さん。その様子を黙って見てるのは私だけじゃなくて桃華ちゃんも。
「桃華ちゃん、好きなの頼んでね?」
「あー、えっと。」
「こいつ、待ってたらいつまでも食えないよ」
相良さんは、ははと笑ってメニューをめくりバランスよくオーダーした。
「そうだけどね?そうなんだけど。ジュンさんはきちんと待っててくれるもん」
「はいはい。わかったから」
言葉はぞんざいなわりには言い方は優しくて。
「潤にぃ、そんな勝手な事してるとクルミさんに嫌われちゃうんだからっ」
「俺は……」
「それはっ、―――」
重なった言葉に一瞬の沈黙。
「どうぞ、クルミちゃん」
譲ってくれたその言葉の先、それは勢いだから言えるのであって。まさか二人に注目されていうはめになるとは。
「……それは、ないデス」
言った瞬間、顔をクシャッとさせて笑う相良さんにホッとして。と同時に襲ってくる羞恥心。
「ほんっとクルミさんがいい人で良かったね?潤にぃ」
「うん、マジで最高」
だからそういうこと、サラッと言わないでって。そう思いながら顔が赤くなるのを止められない。