初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「で?来れんの?」

その質問に桃華ちゃんは曇らせていた顔を明るくすると

「あ、うん。一時間後ぐらいだって」

「そ、じゃ、先食っとくか」

そう言うと店員を呼びオーダーをはじめた相良さん。その様子を黙って見てるのは私だけじゃなくて桃華ちゃんも。

「桃華ちゃん、好きなの頼んでね?」

「あー、えっと。」

「こいつ、待ってたらいつまでも食えないよ」

相良さんは、ははと笑ってメニューをめくりバランスよくオーダーした。

「そうだけどね?そうなんだけど。ジュンさんはきちんと待っててくれるもん」

「はいはい。わかったから」

言葉はぞんざいなわりには言い方は優しくて。

「潤にぃ、そんな勝手な事してるとクルミさんに嫌われちゃうんだからっ」

「俺は……」
「それはっ、―――」

重なった言葉に一瞬の沈黙。

「どうぞ、クルミちゃん」

譲ってくれたその言葉の先、それは勢いだから言えるのであって。まさか二人に注目されていうはめになるとは。

「……それは、ないデス」

言った瞬間、顔をクシャッとさせて笑う相良さんにホッとして。と同時に襲ってくる羞恥心。

「ほんっとクルミさんがいい人で良かったね?潤にぃ」

「うん、マジで最高」

だからそういうこと、サラッと言わないでって。そう思いながら顔が赤くなるのを止められない。
< 694 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop