初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
食も進んだ頃、桃華ちゃんの彼、堂地さんが颯爽と現れた。
いつ見てもキリっとして隙のない様子の彼だけど、桃華ちゃんを見る目はことのほか優しい。

「すみません、遅くなって」

「お疲れさまです、ジュンさん!」

桃華ちゃんは頬をばら色に染めて声をかける。それを見た堂地さんは、眉をピクリと動かすと

「モモ、だいぶ飲んだんですか?」

酔ってるわけじゃなくて、きっと。

「へ?そんなことないですっ。クルミさんと一緒に甘いお酒飲んでただけですっね?クルミさん」

桃華ちゃんはお酒が入ると少し饒舌になるのか、少し高くなった声で一生懸命説明している。
ますます可愛い。きっとこんな所が堂地さんは心配なんだろうけど。

「はい、食前酒にと思って」

「そうなんですね、すみませんお気づかいいただいて」

なるほど。この反応なら保護者的なと桃華ちゃんが思っても仕方がない。だけど、そのメガネの奥の瞳には愛しく思うそれが見て取れる。

「ドウチさん、何飲みますか?」

取ってつけた様に呼ぶその名前に、さっきはアイツとか言ってたなと思いだす。

「キミと一緒で構いませんよ」

この二人の関係。やっぱりちょっとただならぬ雰囲気に少し不安になる。

「もうっ、二人とも仲良くしてって言ってるのに」

「仲いいですよ?ねぇ、サガラさん」

「そうですね、ドウチさん」

「まぁあれです、なんて呼んでいいか困ってるだけですよ。同じジュンですからねぇ」

「そうなの?潤にぃ?」

「ま、そんなとこ」
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