初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
もちろんその大きな手を覆う事は出来なくて、握ってるというよりはやっと手の上に乗せてる感じで。
それを見た相良さんがフッと笑うと、そっと手を抜いて今度は私の手を上から捉えた。

グッと握りしめられた手。じんわりして、ドキドキする。

……やっぱり私はこの手が好きだ。

じっとその手を見ていると、

「そういうのは家でゆっくりやってください」

「ちょ、ジュンさん。邪魔しちゃダメですって」

さっきはしっかりと二人の世界だったはずなのに、いつの間にかこっちが見られてた。

そう、堂地さんの言うように家に帰ってからすればいいのに、どうしてもあのままにはできなくて、うっかり手が伸びてしまった。

周りの事、一番気にするはずなのに。そう考えると、変な汗でてきた。

「なんだよ、邪魔すんな。いいだろいつも見せつけられてんだから」

「まぁそうですけどね。」

って、わかっててやってたのか。堂地さんって見た目の印象とは違って、ちょっと曲者なのかも。というか、

「そういうとこ腹黒だよな……」

ボソっと隣で小さく呟いた相良さんに、全くの同意。

そう、それ。腹黒。メガネのせいか冷たい印象が先立つものの、よく見たら整った顔立ちしてるし。この人もかなりの……

「サガラさんにそう言ってもらえると光栄です」

ニッコリ笑って返してきた堂地さん。
うん、この人だけは敵に回さないでおこう
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