初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

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堂地さんが来てから一時間ほどしてお店を出た。

桃華ちゃんも眠そうにしてたし、それを心配した堂地さんが「そろそろ」と切り出した。
そんな桃華ちゃんに相良さんは「おまえはすぐに楽しいと飲み過ぎるからな」と釘をさした。

その様子を見ても、さっきほどよりは胸が痛まないのは……、

「さてと。クルミちゃん家、寄る?」

「え?」

「や、今日は連れて帰るって言ったけど?」

「あっ、」

そうだ。そのつもりで自分も……、

「あ、うん。寄ってもらってもいい?」

準備してある。小さいバッグに。

近いとはいえ、やっぱり必要なものはあるわけで。最近、相良さんの家に行くようになってから作ったおとまりセット。単純だけど、それを作る時は楽しくて。

今までしたことない事ばかりだけど、そんな浮かれた自分もけっこう嫌いじゃない。

「クルミちゃんてお酒の後コーヒー飲むんだっけ?」

「え?別にそんなんじゃないけど」

確かにいつも家に寄ってもらう時にはコーヒー出してた、けど。

「じゃ、母さんから送ってきたのあるからまだ飲めるなら一緒に飲もうか」

「わ、新しいの届いたんだ?」

「そ、クルミちゃんと一緒に飲めってね」

その言葉はお母様に認められたみたいですごく嬉しかった。
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